2024年3月6日水曜日

フェルール

 キャスト中に竿が折れる。この喪失感はなんともいえない。

竹竿だから、とは言い訳と思いつつも、フェルール周りに集中して生じる。

主にカーボンパイプをフェルールとしているからだろうか。いや、金属のパイプでも同様の問題は起きる。その構造としては、丸いパイプをはめるために強い表皮部分を削る。そこに生じる段差が問題のようだ。

スリーピースでバット側は問題ない。一定以上の太さでは大丈夫ということ。折れるのは決まってティップとミドルの接続部分だ。



スカジットラインのような重いライン、ヘビーなシンクティップを抜き上げるとき、きまってミドルに力が集中するのもある。キャスト中にねじりながら負荷がかかるのもミドルセクション。この部分をどうにかできないか。

スペイ、スカジットのダブルハンドロッドを目指している自分としては少しでも改良を進めないと、この先はない。

1つの解決策としてはスプライスドジョイントがある。これは精度良く削るのがなかなか面倒というのもあるが、実際に使うときのテーピングはかなり面倒だし、しまうときも同じ手間がかかる。ただ、安定性は抜群だろう。スペイロッドでこれが普及する理由もよくわかる。



もう1つの解決策は、コンポジットフェルールではなかろうか。竹フェルールという貧弱な響きから敬遠していたが、カーボンとの複合素材の強さは目を見張る物がある。

ガラスやカーボンにエポキシ樹脂を含浸させるのはFRPと同じ理屈だし、熱をかけるのならカーボンロッドのブランクと似た原理となるだろう。

ボブクレイや朝間ロッドさんが取り組まれているようで、今回は朝間ロッドさんが公開されている手法を真似してみた。

精魂込めて仕上げた竹のシャフトを実験に使うのは心苦しい。火にくぐらせたり水につけたり。それでも折れるぐらいなら、少しでも先に進めるのならと、取り組んでみる。



結論、まだキャストもしていないけれど、抜群に強度を感じるフェルールができた。これから組み立て使い倒してみるけれど、今からとても楽しみ。六角形同士のフィット感、適度な硬さの表面、そして段差を設けない竹のシャフトは、間違いない結果となるだろう。



はやく仕事を片付けて、春の釣りへと向かおう。

2023年10月30日月曜日

秋休み

 秋の最盛期に休みが取れる友人達がいつも羨ましかった。祭日絡みで四連休とか。いつも羨ましくおもっていたけれど、ふと自分の週末のシフトをみてたら休めることになっている。急かもしれないけれど、自分も秋休みを取ってみよう。もう興奮しかない。

みんなが働いている金曜日の朝早く現地へに向かうこととする。


この日に雨が降り出すとの予報があった。まだ間に合いそう。釣り下りを急ぐ。


久しぶりのポイントで45cmのアメマスが出てきてくれた。スイング後リトリーブ中にガツンときた。水面をゴボゴボとあらしたので少しだけ慌てた。無事ネットイン、久しぶりのアメマスとの出逢いがたまらなく嬉しかった。ただ、熊が出るとのことで昼間なのに何度も振り返りながらの釣りだった。

その後雨が降ったり放水で増水したりと、釣りにはなりづらい状況。それでも一人焚き火を楽しむ。


早々に釣りを終えてキャンプと焚き火としけこんだのは正解だったかもしれない。


車中泊の夜は長い。夜中ずっと雨を感じていた。案の定というか増水と濁りで目あての本流は釣りにならない。支流で鉢合わせた友人と話ながらふと気づいた。いつものダム湖はどうだろうか。


落ち葉も多くて釣りづらい。それでもティップに入ったヘッドが手元に届きそうなとき。銀色の魚がこたえてくれた。


ヘッドを抜くのに一回、ラインを整えるのにロールキャスト。ようやく三度目でキャストとなる。このリズムをつかんで程なくヒット。やはりリズムは大事だ。

秋の虹鱒に出会うのはなかなか難しい。今年ラストの虹鱒だろう。この44cmの魚との出逢いには感謝しかなかった。

2023年10月17日火曜日

釣れる釣れない

 10月も半ば、気温は6℃から22℃、水位は68.02、濁度3、晴れ。ようやくきたこの条件。釣れるとしかとしか思えない。


朝一は期待感しかなかった。思ったよりも鮭は少なかったので、新規のポイントに向かうも鮭のスレがかりしかない。

あまり調子が良くないのは、前より人が多いからかもしれない。


3箇所目でフライをひったくるように出た小さなニジマス。


テールのオレンジが効いたのかも。


秋の夜は早い。1630には終了。呆気なくてなんだか物足りない気分になる。


翌朝は七時から。それでも魚の反応は無い。ただし雰囲気だけは満点。


あっという間に11時前となり釣りを終えることになる。釣れないのにまだまだ釣りをしていたい。


鮭のスレがかりでも折れなかった竿、少しだけ曲がったかもしれないけれど、新しいリールとの相性は抜群に感じた。おれた分5cmぐらい短くなった竿は少しだけ強くなって、420grが丁度良い感じ。タイプ4の軽いティップで鮭が産卵している岸際でたまに根がかる程度だった。

大物との出会いはまた次に残しておこう。

2023年9月27日水曜日

バインダー


なんだか作れそうだったので試作してみた。

とても恥ずかしい工作物。


竹の棒に糸を巻き付ける道具だが、ティップ部分など細いところに妙な力がかかったり、逆に回らなかったり、どうにも使いづらい。やはりプロショから買うかもというところで、4ストリングバインダーというものを見つけた。

4本同時に反対方向からも巻きつけるので、ブランクのネジレが少ないとか。

ただ、販売価格も非常にお高い。

でもほしい。なのでまた作ってみた。

旋盤とかはない。プーリーも自作。構想1年、制作半年。動き出したときには感激した。


設計図もなく適当に作ったのが悪かった。

正直苦労した割にあまりよろしく無い。

また恥ずかしいものを作ってしまいました。


スペインからの帰国

 スペインから帰国。時差ボケ無い様で夜に目が覚めたり急に眠気が襲ったりと、ときになかなか辛くなる。まあ色々なところを巡れたので、刺激を受けつつ帰って来ました。




ガウディはやはりすごい。細部を見ると自然のものがモチーフだとよく分かるし、それでいて全体としてのインパクトは形容しがたい迫力がある。サクラダファミリアはかなり完成に近づいていたが、ここに来て不自然に見えた受難の門も馴染んで見え、建物全体のまとまりが出てきて素晴らしいと感激して帰ってきた。


定年する頃には完成しているはずなので、また行きたいものです。

2023年9月6日水曜日

知床カラフトマス釣り202308-3

 昨日とは別の場所に渡った。

全員で四人のみ。風はない。波もない。絶好のコンディションだった。



程なくマスの背びれをキャストできる範囲内に見つける。この瞬間の興奮がたまらない。程なくしてヒット、銀ピカだった。その後さらに二匹を追加。今回の釣りとしてはほぼ満足できた。





手前の海藻がきつく、インターティップでは根がかりとなる。FHIにフローティングティップでギリギリ釣になる感じだった。次回は460grのフローティングや、350grヘッドにフローティングティップでも良いかと思う。

同行の友人にも一匹かかり、潮も引き気味となり、さあこれからというところで熊が出た。



そっと後ろから近づいてくる。釣りをしている自分の後ろを近距離で通り過ぎていく。かなりリラックスしているようだ。このままいなくなればと思っていたが、何度か行きつ戻りつしているので船に避難、船上から船長が爆竹を鳴らすと、よっぽどリラックスしているところに不意をつかれたのか、一瞬ビクッとして、藪に戻っていった。ここで泣く泣く魚と荷物を回収して釣りを終えた。

船長は気を利かせてもう一つのポイントに連れて行ってくれたが、案の定魚の気配はない。先に船の乗り場に戻った同行者のところ、またしてもくまが出た。今回は岩一つ向こうで相当近い。反対側へ回るようにという船長の指示で、大岩を乗り越えながら移動して釣りを終えた。




銀ピカの口がかりで、跳ねるオスのカラフトマス。これをバンブーロッドで釣ることができたのは大きな自信となった。バットの力は十分。これをそのままにティップを少しだけスリムにしたものを次の竿としたい。

マスのソテーに小麦粉をまぶした白子のオイル焼き。血抜きをしたオスの白子は真っ白で臭みが無い。マス達の旅の終着点は、うちの胃袋となったのであった。

2023年8月30日水曜日

知床カラフトマス釣り202308-2

 知床では港に戻ってからの楽しみとして、渓流でのオショロコマ釣りがある。あらゆるポイントから無限にフライに飛びついてくるピンコヤマメこそ目立つものの、ここぞというところではオレンジ色の婚姻色を纏ったオショロコマが出てきてくれる。無邪気に流芯脇から、エルクヘアカディスに出てくる。この婚姻色を見るとセッパリのマスと同じく夏の終わりなんだ、と今年の暑い夏を思い返す。



初めてのシングルバンブーロッドは、実は絶不調だった。多分テーパーとアクション自体のバランスがフライロッドとして取れていないように感じた。ロングティペットリーダーなんて投げれたもんじゃない。もちろんリーダーのみのキャストが決まらず少しばかり苦戦した。ループの展開を整えてきちんとターンオーバーさせることを狙えばどうにか。ティップが柔らかすぎるのかバットとのバランスが悪いのか、ラインがのらない。キャストそのものでシングルはまだグラファイトに遠く及ばない。シングルロッドの製作者の方達には頭が下がります。このバランスをしっかり取って竿として成り立たせるのはなかなか難しいのでは。このあとシングルも何本も作れば少しか見えるのかも。



スペイロッドはラインの性能とキャストのタイミングでどうにか誤魔かせるというか、キャストに対して竿の性能の許容度が高い。ただ、キャストフィールは別物であり、もう少しバットにちからがほしいとか、欲を言えばいくらでも出てくる。まあ、それはこれからゆっくり詰めれば宜しい。それが楽しみで竿作っているんだから。




色々と思うところはあったけれど、渓流釣りはソコソコに、明日に備えることとしよう。