2012年10月14日日曜日

Skagit Cast and Rig


 ようやく最近本流で釣りになるようになったのは、スカジットラインのシステムに迷いがなくなったことからだろうか。 RIOのスカジットラインはストレートなパスタラインで、専用のテーパー付ティップをつけるらしいけれど、当初自分は適当なシューティングヘッドをカットしたものを重さを考えずにつないだりしてみた。案の定、アンカーは切れるしターンオーバーはしないし最悪の状況。そもそも、正しい道具立てで始めないと、身につくはずのキャストも身に付かない。もうめげそうになりました。自分なんかのつたない知識では役に立たないかもしれないけれど、これからスカジットラインを使ってダブルハンドで本流釣りをしてみたいという人にむけて情報を発信してみようかと思う。

 ご存じのとおり、スカジットキャストは北米のスカジットリバーを中心に発展したスペイキャストの一分家。重いシンクティップを使って、大きな重いフライを安全にキャストするための方法といえる。ロッドに負荷をかける原理自体はほぼ一緒だけれど、タッチアンドゴーといわれるようなジャンプロールキャストにみられるようなキャストよりも、水面にべたっとラインを一度置くサークルCキャストやペリーポークのようなキャストが中心となる。このあたりはスカジットマスター1に詳しい。英語はちんぷんかんぷんでも、エドワードがカッコいいというのだけはわかる。相当見ごたえがあるのでお勧めしたいところ。



 他のスペイキャストの道具立てと違うところは、重いティップをつけること、短いラインを使うこと、そのためにスカジットラインは太く重いことがあげられる。ラインの短さはそのままバックスペースを節約することができ、その重さは軽々とティップやフライを抜くのに役に立つ。というのが一般の雑誌やWEBにでていること。
 
 ところが、スカジットラインについては何が正しいのか誰が教えてくれるのだろう?いや、どれでも投げれれば正しいのだろうけれど。実際に何を使えばいいのかにたどり着くまで情報の不足を非常に感じた。

 とりあえず、エアフロのスカジットコンパクトを使う、という前提で、実際にデザインしたラインデザイナーのLarimerさんのサイトより引用してみる。

Deschutes River Spey Fishing Equipment
Rods: 11’9 to 13’6' for a #6 to #8 weight Spey rods.
Reels: Large Arbor with 150 yards of 30lb. backing.
Running Line: 30lb. Airflo RidgeLine, Miracle Braid or Mono
Floating Lines: Airflo Rage Compact w/intermediate Poly Leader
Sink-tip Line: Airflo Skagit Compact or Airflo Skagit Switch
Sink-tips: 12' Airflo Type 3, T-10, and T-13 sink-tips .
Tippet: 10lb. & 12lb. Maxima Ultra Green

 解説されているのはデシューツでの道具立てのようだ。11’9-13’6fで6-8番手の竿。これはちょうど北海道でも使いやすいだろう。
 スカジットラインはランニングラインにつないで使う。モノフィラでもエアフロのリッジラインでもOK、個人的にはサワダのフラットビームスーパーの50lbをお勧めしたいところ。安いしね。フローティングラインはレイジコンパクトを使うとなっているが無視。シンクティップラインの欄に、エアフロのスカジットコンパクトとある。まずはこちらを揃える。
 肝となるのは、シンクティップ。タイプ3、T-10(タイプ6相当)、T-13(タイプ8相当)を12フィートとある。まずは3種類そろえようということ。フローティングとこれだけあれば実際の本流釣りで十分と思う。T-10は比重ではなく1fあたりのgr(グレイン:重さの単位)を表わすので、12fだと120grぐらい。T-13だと156grぐらい。つまりスカジットラインのティップには100~150grぐらいのティップをつなぐということ。このあたりを理解するのに手間取った。世の中には、スカンジ用なのか、シンキングリーダーというのもあるけれど、重さの表示がないし、じっさいにはかなり軽い。スカジットラインにつなぐと違和感を非常に感じます。スカンジ用ラインだとぴったりくるのだけれどね。ちなみにタイプ3で12fのティップは市販されていないかな。こういうことがスカジットラインの解説にかかれていることがあまりなかったので、相当迷ったところ。
 最後にティペット。ティップの先にはリーダーをつけず、10lbから12lbのティップ直結ということね。フロロカーボンだと2.5号から3号に相当。これも北海道にぴったり。

 以上をふまえてここまでのまとめとして。実際に自分が使っている仕掛けはこんな感じ。
①フライ
 重くてでかいフライをキャストすることを前提にしている。そもそもウィンターランと言われる冬にめがけて遡上する魚を狙っているので、フライの大きさをアピール力のひとつとしている。ただし小さいフライが駄目かというとそういうわけでもないし、ドロッパーでも全然いける。ドロッパー、釣れますよ。根掛かりすると苦労して巻いたフライが一瞬で2個同時になくなります。

②リグ(仕掛け)
 フライからシンキングティップまでは自分はティペットのみ。ティップの先に4号のフロロを5~7ftぐらい、その先に2.5号のフロロを5ftぐらい。全長10ftぐらいにする。根掛かりするとだいたい2.5号のティペット部分でちぎれる。あまり長いともともと悪いターンオーバーがより悪くなる。長いテーパードリーダーを使ってもターンオーバーがよくなるということはなかった。なのでティペットのみ。

③シンキングティップ
 スカジットライン本体が450~550grぐらいであれば、100gr前後で10ftを目安にしたティップシステムを推奨したい。軽すぎるとアンカーが効かなくなるし、長くなると抜けなくなる。
これをフローティング、インターミディエイト(タイプI)、タイプ3、タイプ6、タイプ8ぐらいで揃える。
意外とティップ単体では都合のいいのが販売されていないが、フローティングとインターミディエイトは13ft110grぐらい、タイプ3は3Mで10ft100grのが販売されている。ちょっと高いのだけれど、代替するものがないのでしょうがない。
 ただし、タイプ6については、3Mでバルクパックで売られているT-10 がお勧め。これを10ftにカットしてもらって両端ループ処理して使用する。ちなみにT-10というのは1ft10grという意味で、単に重さを表わしていて比重を意味していない。しかしながら3MのT-10はタイプ6相当の比重(6-7ips)・シンクレートとなる。同様にT-14だと10ftで140grで、タイプ8相当(8-9ips)になる。

エクスプレスシューティングヘッドライン バルクスプール

 いつも使うのはタイプ3のティップかT-10の3mティップ。虫が多いときにはインターミディエイト。時に激流に放り込みたいや深い大場所ではT-14もありだと思うけれど、フローティングとあわせて使用頻度は少ない。インターミディエイト・タイプ3・タイプ6でどうにかなるだろう。

④スカジットライン本体
 これについてはエアフロが鉄板。キャストのしやすさや耐久性からも間違いなし。フローティングとインターミディエイトがあるけれど、インターミディエイトは表層流のすぐ下に潜り込んでよく流れをつかんでくれる。結果より長い時間漂わせることができるけれど、メンディングでライン位置を修正することやスイングスピードを調整することは若干難しくなる。最初はフローティングから、できればインターもでしょうか。自分はインターの出番が最近多いです。スカジットコンパクトはみんなが薦めるいいラインです。ちなみにLarimerさんによると、いつも使うフローティングのスカジットラインの重さよりも50grぐらい軽いラインがいいよ、とのこと。納得。
 ちなみに最近発売されたRage Compactですが、スカジットラインとスカンジラインの丁度中間というところ。個人的な感想としては多少ターンオーバーのいいスカジットラインという感じで、しかも重いティップは使いづらくシンキングリーダー頼みになる。まあ、もしそうであれば普通にAFSとかのほうがいいラインだと思う。



 ライン本体を選ぶにあたって多分迷うとしたら、このラインのgr表示でしょう。いったい何grを選ぶのが正しいのかと。昔は番手しかなかったので楽だったよなあ。
 TFOのDEER CREEKシリーズだと、13ft7番で450gr-700gr表示。めちゃくちゃ範囲が広いので当惑する。これの意味、下のほうがスカンジ系のラインでの表示、上の700grというのがティップまで含めたスカジットラインでの表示となっている。自分の感覚だと、460grのスカンジ系ラインで十分負荷がかかるし、540gr+150grぐらいのスカジットラインだと相当重いけれどキャストに支障はない。スカジットラインを選ぶとしたら、この支障がない範囲で本体のラインの重さをセレクトする。今回はティップを100grとしているから、最高でも600gr以下、ラインの負荷を感じづらい人は540grぐらい、平均的には510grぐらい、もっと馴れた人だと480grでもいけるのだろうけれど、ティップが抜けづらくなったり風を考慮する必要から軽すぎてもいけない。
 ちなみにRIOでラインの推奨表がある。馴れた人向けのAタイプと、初心者向けのBタイプがあって、ディアクリークの7/8は推奨スカジットラインの重さがAで450grBで500grとなっている。

2012 Spey line recommendations

マイザーロッドのMKS14ft6/7がAで400grでBで450gr。どちらの竿も自分の感触だとBプラス50grぐらいあってもいいのかもしれないと感じる。最低でもBで選ぶのがいいんじゃないかと思う。

⑤ランニングライン
 自分は基本的に30ポンド程度のモノフィラを使用していたけれど、ザワダさんとこのフラットビームスーパー50lbが本流で本当に使いやすかった。沢田さんに直接聞いたのだけれど、重いシューティングヘッドを使うなら、まず間違いなく絡むので、可能な限り太いものにしたほうがいいとのこと。そんなに飛距離がかわらないからと、50ポンドを薦められました。ちなみに某KEN○○beのはよく巻き癖がとれて使いやすいとおもったのだけれど、使用するうちにしょっちゅう絡むようになってきた。やっぱり沢田さんの言うことは正しかったと日々感じる。
⑥竿
 スカジットラインを使用する場合、瞬間的な竿の反発力以上に、竿全体のたわむ力を水面を利用してひきだすことが肝要。そのためどちらかというとファーストアクションのオーバーヘッドロッドは向かない。KEN○○beの竿でもやれたのだから、できないことはない。それでもいつかぽっきり行くかもしれない。
 TFOについてはいいアクションでリーズナブルな竿だと思う。多少反応が鈍い部分があるかもしれないけれど、スカジットキャストには十分。ときにスカンジ系のキャストもできる。13ftぐらいだと取り回しが楽かな。11ftとかのスイッチロッドは、最初はいいと思っていたけれど、川に立ちこむと竿の短さに不便さを感じるし、オーバーヘッドでチョイ投げするようなショートレンジではあまり釣りをすることはないこと、結果自分的にはいつものロッドとして使うには物足りない。今はスイッチロッド用の短いラインも発売されているので、今後試してみるかも。ちなみに韓国製でスレッドやグリップのデザインはいいんだけれど、コルクのグレードは低く、フェルール部分の塗装は非常に弱い。テーピング用のビニールチューブで塗装がはげます。
 マイザーのMKSについては、同じデザイナーのはずなのにTFOとは全く別物だった。軽く振っただけでタイトループが上空に伸びていく。バッドを無理に曲げたり小細工すると上手くいかないのだけれど、竿のアクションにあわせて素直に投げると、スカジット、スカンジ両方のラインでいける。とくにスカジットを投げる時は快適。自分のは14ft6/7 。まだまだ振り倒していない。1本しかないのに海のサケマスに使うにはちょっともったいなくて。今のところロッドのパワーが足りないと感じたことはない。今後は13.6fの7/8が。ぜひカスタムで・・・。っと目がとろんとしてしまった。
 東京に出張の折、あちこちで竿をもたせてもらった。そんな中ビューラーの竿はTFOと同じ雰囲気を感じた。スカジットに十分なアクションで仕上げはビューラーの方が2ランクぐらいうえかな。また、エドワードにあこがれてルーミスのドレッジャーを持たせてもらったら、胴調子のぐでぐでの竿。これだとスカジットには最適と思う反面、スカンジ系のラインを使うにはストレス感じるかもと想像する。反発力がそこそこあるのが高い竿のあかしだろうか。4万円ぐらいなら考えるけれど、あのお値段ではちょっと手がでませんでした。CNDのエキスパートスペイもふってみたら、こちらは柔いだけでした。
 今もし誰かに竿を薦めるとしたらビューラーの個人輸入をお勧めしたいところ。プラチナムの13fぐらいで575ドル。多分送料入れて5万円以下。クラッシックで435ドルだからこれだと送料込4万円以下。普通に通販の感覚でぽちっと押してクレジットカードの番号と住所をいれるだけ。
 また、余裕がある方はMKSのカスタム。6/7ぐらいがやっぱりちょうどよい。カートシステムではないので直接メールを送らなければいけないけれど、中学校レベルの英語ができれば十分やりとりは可能だしマイザーさんはとてもいい人だった。

⑦リール
 やっぱりハーディーでしょ、というほどハーディーのリールをもっているわけではない。ただし、たっぷりと容量のあるリールでないとラインを収納できない。マーキスサーモン1以上は必要かな。バッキング150m、WF8・9番ぐらいの容量があると大丈夫。ああ、ディスクで滑り出しがよくて信頼できる新しいのがほしい・・・・。



 
 以上、自分のいつもの道具立てを中心にまとめてみた。
 もしおかしな記述や、わからないところがありましたらご指摘ください。つたない記述ではあるけれども。一人でも多くダブルハンドでの本流釣りが楽しめますように。

6 件のコメント:

  1. こんばんわ!

    Meiserの13.6フィートの67番MKSをカスタムで作ったものとして・・・
    非常にいいロッドですよ!軽い力でラインが行きよいよく飛んでいきます。
    ただし,ニジマスには多少不安があるので,使用していませんが。
    アメマス用に使用しています。

    さて,スカジットラインについて。
    自分のシステムで異なるのは,ランニングラインがリッジの30lbであることと,シンクティップはリオを使用しているということでしょうか。
    Windcutterのティップをそのまま流用したのがスタートなので,今でもリオを使用しています。これまで困ったことはありませんね。強いて言うなら,クラックが入りやすいことぐらいかな
    それでも,釣りには支障なく使えているので。
    さて,明日も釣りですか??自分は明日はお仕事なので,天気をみながら日曜に行こうと思っています。

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  2. こんばんわ

    とても参考になりました。

    スカジットコンパクトもそうですが、ラインシステムは教科書もなくメーカーパンフくらいしかたよるものがないので、難しいですよね・・・

    私は、北のカリスマYunさんに教えていただく機会があったので、当時、教えていただいたとおりに、スカジットコンパクトにグレイン数を合わせたRIOとエアフロのシンクティップを使っています。

    バルクスプールは使ったことがないので、ぜひ、試してみたいと思います。チーターと同じようなものですよね・・・・

    では

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  3. こんばんは!
    コメントとリンクの件、ありがとう御座います。
    とても充実した内容の濃いBlogでビックリしました。
    今後とも宜しくお願いします。

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  4. 110kenさんこんばんは。
    Meiserの13.6で67というスペック、カスタムならではですよね。14だと多少長すぎるんじゃないかというところに、その選択、感心してます。いつか自分もカスタムでお願いしてみたいところです。
    スカジットラインですが、リオのシンクティップ、さすがさまざまなサイズが販売されているはずなのですが、しょっちゅうリニューアルを繰り返して欠品が多いとのことで、お店の方もいつ入ってくるのかわからないといわれたことがありまして。もう少し手に入りやすかったらいいんですけどね。
    リオのリッジランニングラインもいいとの評判ですよね。試してみたいところです。
    週末は浜益でしたのでご一緒できませんでしたが、次の機会にはよろしくお願いします。

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  5. やすこうさんこんばんは。
    そうなんですよ。おっしゃるようになかなか情報がなくて。
    やすこうさんもスカジットコンパクトですか。いいラインですよね。
    ティップはもし機会がありましたら、切り売りしていただけるところで購入できると、3m100gr・1000円未満で格安のができますよ。長さも3m(約10f)ぐらいだと抜きやすいので重めのティップが使えますし。

    ちなみにチーターというのは、ティップの長さを調節するフローティングの「つなぎ」になります。おっしゃるようにバルクスプールのシンキングラインと組み合わせて使用するものですが、RIOのMOWティップのフローティング部分の相当するものです。MOWティップが販売されるようになってからチーター単体は廃盤になったようですよ。

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  6. SHUさんこんばんは。

    ようこそいらっしゃいませ。
    内容が濃いだなんて、もったいないお言葉ありがとうございます。
    思いつきのような話が多いので間違いとかありましたら教えてくださいね。

    これからもよろしくお願いします。

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